日々が、何事も無いかのように物静かに過ぎていく

けっこう薄暗い人生

振り返ってみると、それは人生ですらないような気がする。少し起伏はあった。ごそごそと登ったり降りたりはした。でもそれだけだった。殆んど何もしていない。何も生み出していない。誰かを愛したことはあったし、誰かに愛されたこともあった。でも何も残っていない。奇妙に平坦で、風景が平板だ。まるでビデオ・ゲームの中を歩いているみたいな気がする。パックマンみたいだ。ぱくぱくぱくと迷路の中の点線を食べていく。無目的に。そしていつか確実に死ぬ。

（仕事で）ホテルのカウンターで毎日毎日働いて人生を無駄に磨り減らしていくだけ。《…略…》時々ホテルに飲み込まれちゃうような気がする（。略）境界線が見えなくなっちゃうの。私という存在やら感覚やら私生活やらがホテルという宇宙の中にひきずりこまれて消えちゃうの。

先の生活の保証のつく当てもなく、ゴールのないレースを無限に駈けつづけているに等しかった。

他人の思惑なんか気にしないで自分の生きかたを貫く

ゲンを担ぐ

引き潮のように翳りゆく自らの人生

順調に女優の道を歩む

満たされた生活で欲しいものが手に入らずにつらい思いをしたことはない。一方で本当に欲しいものを苦労して手に入れる喜びを味わったこともない。