雄一は、ソファでそのままぐっすり眠ってしまった。私より先に眠れたことが幸せそうな寝顔だった。ふとんをかけてやってもびくともしない。私は大量の洗い物をなるべく水音を立てないように洗いながら涙がたくさん出た。 もちろん、ひとりでこんなに洗うのがつらいからではなくて、じんとしびれるような淋しいこの夜の中に、ひとり置き去りにされたからだ。
吉本 ばなな / 満月 キッチン2「キッチン (角川文庫)」に収録 ページ位置:36% 作品を確認(amazon)
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とてもさびしい
孤独・一人ぼっち
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前後の文章を含んだ引用
......思いついて笑ってしまった。地獄のカマを見つめて心中をはかっている男女が見えますね。よって、二人の恋も地獄行き。って、昔あったな、と思うと笑いが止まらなかった。 雄一は、ソファでそのままぐっすり眠ってしまった。私より先に眠れたことが幸せそうな寝顔だった。ふとんをかけてやってもびくともしない。私は大量の洗い物をなるべく水音を立てないように洗いながら涙がたくさん出た。 もちろん、ひとりでこんなに洗うのがつらいからではなくて、じんとしびれるような淋しいこの夜の中に、ひとり置き去りにされたからだ。 翌日は仕事が昼出勤だったので、しっかり目覚ましをかけておいたのがジリジリうるさいなあ……と手を伸ばしたらそれは電話だった。私は受話器をつかんでいた。「もし、も......
単語の意味
痺れる(しびれる)
寝顔(ねがお)
痺れる・・・ビリビリとした刺激を感じる。また、感動して感覚的にビリビリと感じて、興奮したり魅了されたりする。
寝顔・・・寝ているときの顔つき。眠っているときの表情。
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身を噛むような孤独
梶井基次郎 / 闇の絵巻
私は圏外に置き忘れられた、たった一人の登場人物だ
林芙美子 / 新版 放浪記
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エアポケットに落ち込んだように、寂しくなってしまった
村上 龍 / 恋はいつも未知なもの amazon
ひとりぼっちでいるというのは、雨降りの夕方に、大きな河の河口に立って、たくさんの水が海に流れこんでいくのをいつまでも眺めているときのような気持ちだ。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
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