終戦直後の物資欠乏時代

依然として予測のつかない時代ではあったが、武内は、復興をめざして日本の大地から 湧き起こっている 渦巻くようなエネルギーが、確かに自分の体からも燃えたぎってくる思いに駆られた。

終戦間もないころで、核家族などという言葉もなければ、テレビもなく、電気洗濯機の普及にも遠かった時代である。

（終戦間もなくは）われわれの娯楽といえば、芝居と映画だけの時代だったのである。食べものすら充分でなかった。

戦後の、日本にとっては未曾有の食糧危機は数年つづき、海軍にいたころ、六十キロあった私の体重は四十二キロに減じてしまった。

（家の中が酸っぱい）驚いたのは匂いである。 　ひどく酸っぱい。 　九鬼本は、はじめ、五目ずしでも大量に作ったのかと思った。《…略…》酸っぱい、といったところで、ツーンと鼻にくるような酸っぱさではない。 　夏場は、たきたてのご飯に酢をまぜ、 団扇 であおいでいるときのような、蒸れたような酸っぱさだった。 　ひんやりした時候になると、 海苔巻 や 稲荷 ずしの匂いになった。 　うち全体が匂うのである。 　いや、うちも人も、酸っぱい匂いがした。

金さえあれば、もっと、どうにかなるのか、浅はかな世の中だ。

終戦直後の物資欠乏時代

魚屋の前は眼をつぶって、息を殺して通る。

乞食と隣りあわせのような私

「宇宙の複雑さに比べれば」とハートフィールドは言っている。「この我々の世界などミミズの脳味噌のようなものだ。」

この畳の上で朝目を覚した時「ああまだここにいるのか」と云い難い苦悩を感じた

口を閉じ、魚のように暮らす

季節はダラダラと過ぎていく

食糧が不足していて、好ききらいなぞいってはいられなかった

（サザエさんの）波平氏は戦中戦後を通じて食糧難に苦しんだ世代である。

「あなたが葉書を書く未来も、書かない未来もあるということです。未来はいくつもの枝葉に分れています」

現代史の流れに逆らう暴挙

礼儀正しい日頃の習慣

政治、経済、化学、教育、そして人々の価値観が目まぐるしく変化した現代。