TOP > 風景表現 > 水中の生き物 > 金魚


カテゴリ検索 単語の意味
列を作った三匹の雄魚は順々に海戦の衝角突撃しょうかくとつげきのようにして、一匹の雌魚を、柳のひげ根のたばの中へ追い込もうとしている。雌は避けられるだけは避けて、まぬがれようとする。なぜであろうか。処女の恥辱のためであろうか。生物は本来、性の独立をいとおしむためか。それともかえって雄を誘うコケットリーか。ついに免れ切れなくなって、雌魚は柳のひげ根に美しい小粒こつぶの真珠のような産卵を撒き散らして逃げて行く。雄魚等は勝利の腹を閃めかして一つ一つの産卵に電撃を与える。
※備考※ 金魚の受精
岡本かの子 / 金魚撩乱 ページ位置:78% 作品を確認(青空文庫)
この表現が分類されたカテゴリ
金魚
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......の中に手を差出してみたり、頬を突き出してみたりした復一は、やがて 「風もない。よし――」といった。  日覆いの葭簾を三分ほどめくって、覗く隙間すきまこしらえて待っていると、列を作った三匹の雄魚は順々に海戦の衝角突撃しょうかくとつげきのようにして、一匹の雌魚を、柳のひげ根のたばの中へ追い込もうとしている。雌は避けられるだけは避けて、まぬがれようとする。なぜであろうか。処女の恥辱のためであろうか。生物は本来、性の独立をいとおしむためか。それともかえって雄を誘うコケットリーか。ついに免れ切れなくなって、雌魚は柳のひげ根に美しい小粒こつぶの真珠のような産卵を撒き散らして逃げて行く。雄魚等は勝利の腹を閃めかして一つ一つの産卵に電撃を与える。  気がついてみると、復一は両肘をしゃがんだ膝頭ひざがしらにつけて、かたにぎり合せた両手の指の節を更に口にあててきつく噛みつつ、衷心ちゅうしんから祈っているのであった。いかにささやかなもの......
単語の意味
愛おしむ(いとおしむ)
恥辱(ちじょく)
腹(はら)
愛おしむ・・・かわいがること。愛情を持って大事にすること。
恥辱・・・名誉やプライドを傷つけること。恥。
・・・1.ヒトなど動物の、胴の下半部の前面と考えられる側。背(せ)の反対側の部分。また、その内側にある内蔵。
2.(腹の内面にあるものとして)心。考え。感情。気持ち。また、度量や度胸、気力もいう。
3.物の中央の膨らんだ部分。「指の腹」「銚子の腹」など。
4.背に対して、物の内側の部分。
ここに意味を表示
金魚の表現・描写・類語(水中の生き物のカテゴリ)の一覧 ランダム5
このカテゴリを全部見る
「水中の生き物」カテゴリからランダム5
(いぼ蛙の)口の尖った意地の悪そうな、あの河童のような顔
志賀 直哉 / 菜の花と小娘「志賀直哉小説選〈1〉」に収録 amazon
熱帯魚が閃くように泳ぐ
有吉 佐和子 / 三婆 amazon
カテゴリ検索 単語の意味
同じカテゴリの表現一覧
水中の生き物 の表現の一覧 
風景表現 大カテゴリ
表現の大区分