彼が部屋で感覚する夜は、昨夜も一昨夜もおそらくは明晩もない、病院の廊下のように長く続いた夜だった。
梶井基次郎 / 冬の日 ページ位置:62% 作品を確認(青空文庫)
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時間が止まったように虚しい日々
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......のだった。 「何をしに自分は来たのだ」 それは彼のなかに残っている古い生活の感興にすぎなかった。やがて自分は来なくなるだろう。堯 は重い疲労とともにそれを感じた。 彼が部屋で感覚する夜は、昨夜も一昨夜もおそらくは明晩もない、病院の廊下のように長く続いた夜だった。そこでは古い生活は死のような空気のなかで停止していた。思想は書棚を埋める壁土にしか過ぎなかった。壁にかかった星座早見表は午前三時が十月二十何日に目盛をあわせたま......
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じりじりと砂をかむような時間がゆく。
吉本 ばなな / ムーンライト・シャドウ「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
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