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自分らの生活が予定通りはじまっているというわけだが――伸子は、しかし、何だかその生活に、自分を馴らしてしまうことができずにいるのであった。例えばある一つの晩餐会がここにある。料理は勿論、金縁の献立通りに燕尾服の給仕によって運ばれている。招かれぬ客もいないし、主賓が欠けているわけでもない。乾盃から卓上演説まで、すべて遺漏なくプログラム通り運ばれている。しかも、始めから終りまでその席に連なり、プログラムの予定通りの進行の証人となっているうち、その会合全体のうちに、自分が何の趣味も意味も感ぜず、突然変な不安にうながされて周囲を眺めまわすような場合がある。はたの誰一人、自分の感じるような屈託は持っていないと云う発見で、彼は自分を慰め得るであろうか。逆に、ますます自分のその場にそぐわない感じを強めるのであろう。  伸子もそれなのであった。
※備考※ 結婚生活に馴染めない
宮本百合子 / 伸子 ページ位置:44% 作品を確認(青空文庫)
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生きづらい・世間に馴染めない ひっそりと、退屈な暮らし(日々)
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前後の文章を含んだ引用
......い憂愁に捕われた。――捕われたと云っては当らない、西日があまりきついので、伸子の内心から憂愁が蒸発するとでも云うようだ。  別に家も持ち、佃は職業を得、先ずこれで自分らの生活が予定通りはじまっているというわけだが――伸子は、しかし、何だかその生活に、自分を馴らしてしまうことができずにいるのであった。例えばある一つの晩餐会がここにある。料理は勿論、金縁の献立通りに燕尾服の給仕によって運ばれている。招かれぬ客もいないし、主賓が欠けているわけでもない。乾盃から卓上演説まで、すべて遺漏なくプログラム通り運ばれている。しかも、始めから終りまでその席に連なり、プログラムの予定通りの進行の証人となっているうち、その会合全体のうちに、自分が何の趣味も意味も感ぜず、突然変な不安にうながされて周囲を眺めまわすような場合がある。はたの誰一人、自分の感じるような屈託は持っていないと云う発見で、彼は自分を慰め得るであろうか。逆に、ますます自分のその場にそぐわない感じを強めるのであろう。  伸子もそれなのであった。細君という席が、彼女にぴったりしないのであった。どうぴったりせぬかと云う原因を一口に云うのは困難だし、不可能なことであった。それは奥深いところにあるだろうし、繊......
単語の意味
屈託(くったく)
屈託・・・心配事があって、あれこれと思い悩むこと。クヨクヨすること。
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吉本 ばなな「アムリタ〈上〉 (新潮文庫)」に収録 amazon
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