牛だけは、角 をたれて、漆のように黒い背を鷹揚 にうねらしながら、わき見もせずに、のっそりと歩いてゆく。
芥川龍之介 / 偸盗 ページ位置:18% 作品を確認(青空文庫)
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牛
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前後の文章を含んだ引用
......めた、すずしの下簾 が、町すじの荒涼としているだけに、ひときわ目に立ってなまめかしい。それにつき添った牛飼いの童 と雑色 とは、うさんらしく太郎のほうへ目をやったが、牛だけは、角 をたれて、漆のように黒い背を鷹揚 にうねらしながら、わき見もせずに、のっそりと歩いてゆく。しかしとりとめのない考えに沈んでいる太郎には、車の金具の、まばゆく日に光ったのが、わずかに目にはいっただけである。 彼は、しばらく足をとめて、車を通りこさせてか......
単語の意味
鷹揚(おうよう)
背(せ)
牛(うし)
鷹揚・・・小さなことにこだわらずゆったりとしているさま。おっとりしていて争いとは無縁な感じ。大様(おおよう)。
牛・・・ウシ科の哺乳動物の総称。古来より、耕作などの労働力としても使われる重要な家畜。体は頑丈で頭に二本の角を持ち、尾は細い。草などを食い反芻(はんすう)する。和牛は黒色のものが多く、朝鮮牛は赤褐色で小形。肉・乳は食用、皮・骨・角などでもさまざま作られる。
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牛の表現・描写・類語(地上の動物のカテゴリ)の一覧 ランダム5
牛が一匹優しい眼をして私を見ている。
林芙美子 / 新版 放浪記
(テート・ド・ヴォー)仔牛の頭は軟骨状で、すっぽんの皮やアンコウに似ているが、脂があるので、さっぱりとヴィネグレットソースでいただくほうがおいしい
石井 好子「東京の空の下オムレツのにおいは流れる (河出文庫)」に収録 amazon
荷車を牽 く運送屋の牛
梶井基次郎 / 雪後
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亀の首が縮む。その縮みかたが何だかいやらしい。
林芙美子 / 新版 放浪記
ぬくもる闇のなかで耳を圧迫するような蛙と虫の圧倒的な音楽に包囲される
大貫妙子 / アマゾンの憂鬱 amazon
毒舌にまかせて、こう吠える
吉川英治 / 雲霧閻魔帳
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