（全部白髪の若い美女）彼女の髪の息を呑むような白さには、簡単には人を寄せつけない、神話的と表現してもいいほどの毅然とした空気が漂っていた。

年よりも早い純白の髪

電灯もつけないので、顔が黒く映ってよく分らなかった。それでも白髪だけは鈍い逆光にひどく芸術的に光った。

透き通るばかりに真っ白な頭髪

真っ白な髪が、木の間から洩れる日光に時々キラリと輝く

左手の小指を器用に折り曲げて、左の鬢（びん）のほつれ毛を美しくかき上げるあの嬌態（しな）をして見せる

櫛（くし）とか称する無意味な鋸様（のこぎりよう）の道具を用いて頭の毛を左右に等分して嬉しがってるのもある。等分にしないと七分三分の割合で頭蓋骨（ずがいこつ）の上へ人為的の区劃（くかく）を立てる。中にはこの仕切りがつむじを通り過して後（うし）ろまで食（は）み出しているのがある。まるで贋造（がんぞう）の芭蕉葉（ばしょうは）のようだ。

風が強く、はためくとかげ（人名）の髪の毛が闇に踊った。

真っ白く短い髪は、霜が降りた芝生のように

雲脂の落ちそうな長髪