犬はごむ毬（まり）のように店員にとびついた

蛙（かえる）の跳（は）ねるように飛びかかる

ひょいと、からだを折り曲げ、飛鳥の如く身近かの一人に襲いかかり

豹（ひょう）のように、丈八のふところに、はいっていた。

暴れ猪（じし）みたいに迫った。

彼は死のうとする蛾のようにまた伸子の上に両腕を拡げようとした。

男の背中から包丁の柄が突き出している。後ろから刺されたようだ。肉体から工具が生えているようだった。

兵隊の脇腹に銃創があり、そこだけ萎んだ花弁のような形で、周りの皮膚より黒ずんで厚ぼったく変色している

肩で突っかかるように向かっていく

（殴られる）目の前で大きな火花が散った。　新幹線の電気系統が故障したのだ、と最初は思った。見当外れだった。木村個人の神経の信号が瞬間的に切れ、視界が暗くなったのだ。