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灯台はずんぐりと黒く、ちょうど鐘をすっぽりと伏せたような形をしている。考えごとをしている男の後姿のようでもある。日が沈み、薄い残照の中に青みが流れる頃、鐘の取手の部分にオレンジ色のライトが灯り、それがゆっくりとまわり始める。灯台はいつも夕闇のその正確なポイントを捉えた。見事な夕焼けの中でも、暗い霧雨の中でも、灯台の捉える瞬間は常に同じだった。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 ページ位置:27% 作品を確認(amazon)
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灯台
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前後の文章を含んだ引用
......えば沿岸をうろうろするヨットか、濃霧や台風を避けてやってくる港外停泊中の貨物船くらいのものとなった。それも、何かの役には立つかもしれないといった程度のものだ。 灯台はずんぐりと黒く、ちょうど鐘をすっぽりと伏せたような形をしている。考えごとをしている男の後姿のようでもある。日が沈み、薄い残照の中に青みが流れる頃、鐘の取手の部分にオレンジ色のライトが灯り、それがゆっくりとまわり始める。灯台はいつも夕闇のその正確なポイントを捉えた。見事な夕焼けの中でも、暗い霧雨の中でも、灯台の捉える瞬間は常に同じだった。光と闇が混じり合い、闇が光を越えようとするその一瞬だ。 少年時代、鼠は夕暮の中を、その瞬間を見るためだけに何度も浜辺に通ったものだった。波の高くない午後には、突......
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夕闇(ゆうやみ)
残照(ざんしょう)
ずんぐり
夕焼け(ゆうやけ)
後ろ姿・後姿(うしろすがた)
夕闇・・・日が沈んで、月が出るまでの間の薄い暗闇。夕方、月がなくて暗いこと。
残照・・・夕日が沈んだ後のしばらくの間、雲や山頂などを美しく輝く輝かせる、残った光。夕日の光。残光。
ずんぐり・・・背が低くていっそう太って見えるさま。太くて短いさま。
夕焼け・・・大陽が沈む時、西の空が赤く染まったように見えること。太陽の光が、昼間より長い距離、空中を通って来るため、波長の短い青色の光は散乱し、波長の長い赤色や黄色の光だけが、地上に到達することで起こる現象。
後ろ姿・後姿・・・後ろから見た姿。後ろ手(うしろで)。
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遠くの灯台 まわる光が   二人の夜には 木もれ日みたい
吉本 ばなな / キッチン「キッチン (角川文庫)」に収録 amazon
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