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三里はとっくに歩いたと思っているのにいくらしてもおしまいにならなかった山道
梶井基次郎 / 冬の蠅 ページ位置:83% 作品を確認(青空文庫)
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......な言葉が同じように鈍い調子で響くばかりで、やがて女はあきらめたようすでいなくなってしまった。  私は静かな眠った港を前にしながら転変に富んだその夜を回想していた。三里はとっくに歩いたと思っているのにいくらしてもおしまいにならなかった山道や、谿たにのなかに発電所が見えはじめ、しばらくすると谿の底を提灯ちょうちんが二つ三つ閑かな夜の挨拶を交しながらもつれて行くのが見え、私はそれがおおかた村の人が温泉へはいりにゆ......
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