激しい風は、もうぴったり納まって、ところどころ屑 や葉を吹き溜 めた箇所だけに、狼藉 の痕 を残している。
岡本かの子 / 母子叙情 ページ位置:0% 作品を確認(青空文庫)
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強風・暴風
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前後の文章を含んだ引用
かの女は、一足さきに玄関まえの庭に出て、主人逸作の出て来るのを待ち受けていた。 夕食ごろから静まりかけていた春のならいの激しい風は、もうぴったり納まって、ところどころ屑 や葉を吹き溜 めた箇所だけに、狼藉 の痕 を残している。十坪程の表庭の草木は、硝子箱 の中の標本のように、くっきり茎目 立って、一きわ明るい日暮れ前の光線に、形を截 り出されている。 「まるで真空のような夕方だ」 それは夜の九時過ぎまでも明るい欧州の夏の夕暮に似......
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水の辺 に立枯れてゐる蓬 の葉を、ゆする程の風もない。
芥川龍之介 / 芋粥
風はなく、足許のすすきはそよとも揺れなかった。
平野 啓一郎「マチネの終わりに (文春文庫)」に収録 amazon
ぼくらの前には池が広がっていた。風はない。水面に落ちた木の葉は、そこにぴたりと張りつけられたみたいなかっこうで浮かんでいた。
村上春樹「スプートニクの恋人 (講談社文庫)」に収録 amazon
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今にも風で吹き落とされそうに、星が危なっかしく空に光っている
山本 有三 / 波 amazon
思わず外套の襟を立てて肩をすくめるような気難かしい風が荒々しく市街を吹きまくった。
宮本百合子 / 伸子
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遠く高い空の果てから、冷たい風の響きが悲しげに燈多き街の方へと走って行った
永井荷風 / 夢の女 amazon
吹き始めた暴風は一秒ごとに募るばかり
有島武郎 / 生まれいずる悩み
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