澄していても何となく微笑の俤 があるのは、豊かだがういういしい朱の唇が、やや上弦の月に傾いているせいでもあろうか。それは微笑であるが、しかし、微笑以前の微笑である。
岡本かの子 / 雛妓 ページ位置：84% 作品を確認（青空文庫）
この表現が分類されたカテゴリ
微笑み・薄笑い
魔性の女
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......極の勁 い張りがあった。つまんだ程の顎尖 から、丸い顔の半へかけて、人をたばかって、人は寧 ろそのたばかられることを歓 ぶような、上質の蠱惑 の影が控目にさし覗 いている。澄していても何となく微笑の俤 があるのは、豊かだがういういしい朱の唇が、やや上弦の月に傾いているせいでもあろうか。それは微笑であるが、しかし、微笑以前の微笑である。 鼻稜 はやや顔面全体に対して負けていた。けれどもかかる小娘が今更に、女だてら、あの胸悪い権力や精力をこの人間の中心の目標物に於て象徴せずとも世は過ごして行けそう......
単語の意味
上弦の月（じょうげんのつき）
上弦の月・・・新月のあとの、右半分が光る半月。新月から満月になる間の月。陰暦7,8日ごろの月。月の入り(西に沈むころ)には、弦が上方に見えることから。 ⇔ 下弦の月。
ここに意味を表示
微笑み・薄笑いの表現・描写・類語（口・顎のカテゴリ）の一覧 ランダム５
力無い歪んだ微笑
宮本百合子 / 伸子
仏像のような静かな微笑み
よしもとばなな / まぼろしハワイ「まぼろしハワイ」に収録 amazon
ひまわりみたいに笑って
朝井 リョウ / 燃えるスカートのあの子「もういちど生まれる (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
魔性の女の表現・描写・類語（男性・女性のカテゴリ）の一覧 ランダム５
このカテゴリを全部見る
「口・顎」カテゴリからランダム５
意味のある表情で微笑 ませた。
梶井基次郎 / 雪後
頬から顎にかけて彫刻刀で掘りだしたような細い皺が何本も走っている
七尾与史 / 死亡フラグが立ちました！ amazon
暗示的な微笑を浮べた。
宮本百合子 / 伸子
パクパクと酸素が足りぬ金魚のように口を動かす
北 杜夫 / さびしい乞食 amazon
「笑う・笑み」カテゴリからランダム５
薄赤い喉の筋肉がのぞかれるほど、大きく口を開けて笑う
石坂 洋次郎 / 丘は花ざかり amazon
「男性・女性」カテゴリからランダム５
同じカテゴリの表現一覧
口・顎 の表現の一覧
笑う・笑み の表現の一覧
男性・女性 の表現の一覧
人物表現 大カテゴリ
