二人（ふたり）は、初めて恋を知った少年少女が世間（せけん）も義理も忘れ果てて、生命（いのち）さえ忘れ果てて肉体を破ってまでも魂を一つに溶かしたいとあせる、それと同じ熱情をささげ合って互い互いを楽しんだ。楽しんだというよりも苦しんだ。

邦彦の中では、まち子の小さいけれどぽってりとした唇と、娘のような純情が、日ごとに大きく膨らんできていた。ときおり店に来る端正な容姿の若い娘や、大学のキャンパスですれちがう華やいだ女子大生たちは、まち子と比べると、みなどこかつんと 尖った透明な棒のように思えた。それとまったく異質の、思わず苦笑を誘うほどに愚かな、温かい柔らかいものを、邦彦はまち子の全身から感じ取っていた。

何かにじむような熱い気持ちが、じんわりと 湧いてくるのがわかった。それはふたりの間に蒸気のように漂う気配だった。

彼女の横顔はいつも本当に甘く小さな整い方をしていた。

（恋してる）彼を見る目がいっちゃってる

驚くほど柔らかな唇の感触

体中の細胞が壊れそうなくらい情熱的なキス

体がバラバラになるほど愛される

ストッキングの上から僕は女の足をさすった。汗ばんで熱をもったような合成繊維の感触は、電流でもながれているようで気持がわるかった。

シンイチはスカートを静かにめくり指を這わせた。彼の指を濡らした体液はきらきらと光り澄んでいる。