ワインの 馥郁 たる芳香だとか、雨上がりのキノコのような香りだとか、ビロードのようになめらかなテクスチャーだとか

ミュウはワイン・グラスの脚を指のあいだにはさみ、機械のネジを巻くみたいに軽くまわしていた。

ターキーのときは赤ワインを頼む

タンニンが勝ち始めた渋味を増した赤ワイン

新しいグラスに注いだ赤ワインを宙にかざして注意深く眺め、香りを確かめ、それから静かに最初のひとくちを口に含んだ。一連の動作は、内省的なピアニストが歳月をかけて磨き上げた短めのカデンツァを思わせる、自動的な優雅さをもっておこなわれた。

よく枯れたぶどう酒を口に入れると、どこか微かに乾かした葡萄の匂いがする。なんとも温かな感じ。

（芋酒）山の芋を切って熱湯にひたし、引きあげて摺りつぶし、これへ酒を入れてねってから、燗をして出す。

長く柔らかな余韻

彼女は、夫と義父のグラスに注ぎ、残りを威勢よく自分に注いだ。飲みっぷりもなかなかである。

葡萄酒は呼吸をしているからといって、大事に大事に赤ん坊のように扱う男たち。