TOP > 人物表現 > 性格・態度 > 心が病んでいる・精神異常
気持が消極的になっているせいか、前に坐っている人が私の顔を見ているような気が常にします。それが私の独 り相撲だとは判っているのです。と云うのは、はじめは気がつきませんでしたが、まあ云えば私自身そんな視線を捜しているという工合なのです。何気ない眼附きをしようなど思うのが抑ゝ の苦しむもとです。
梶井基次郎 / 橡の花――或る私信―― ページ位置:2% 作品を確認(青空文庫)
この表現が分類されたカテゴリ
心が病んでいる・精神異常
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......然しやはり精神が不健康になります。感心なことを云うと云ってあなたは笑うかも知れませんが、学校へ行くのが実に億劫 でした。電車に乗ります。電車は四十分かかるのです。気持が消極的になっているせいか、前に坐っている人が私の顔を見ているような気が常にします。それが私の独 り相撲だとは判っているのです。と云うのは、はじめは気がつきませんでしたが、まあ云えば私自身そんな視線を捜しているという工合なのです。何気ない眼附きをしようなど思うのが抑ゝ の苦しむもとです。 また電車のなかの人に敵意とはゆかないまでも、棘々 しい心を持ちます。これもどうかすると変に人びとのアラを捜しているようになるのです。学生の間に流行 っているらしい......
単語の意味
視線(しせん)
視線・・・目と、目が見ようとしているモノとを結ぶ線。目が見ている方向。見つめている方向。
ここに意味を表示
心が病んでいる・精神異常の表現・描写・類語(性格・態度のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(心の渇き、誰にでもいいから抱かれたい)あゆみは大きな欠落のようなものを内側に抱えていた。それは地球の果ての砂漠にも似た場所だ。どれほどの水を注いでも、注ぐそばから地底に吸い込まれてしまう。あとには湿り気ひとつ残らない。どのような生命もそこには根づかない。鳥さえその上空を飛ばない。何がそんな荒れ果てたものを彼女の中に作り出したのか(。《…略…》)彼女はその致命的な欠落のまわりを囲うように、自分という人間をこしらえてこなくてはならなかった。作り上げてきた装飾的自我をひとつひとつ剥いでいけば、そのあとに残るのは無の深淵でしかない。それがもたらす激しい乾きでしかない。《…略…》その無は定期的に彼女のもとを訪れてきた。《…略…》そんなとき、彼女は誰でもいい誰かに抱かれないわけにはいかなかった。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 2 amazon
このカテゴリを全部見る
「性格・態度」カテゴリからランダム5
平然と、眉毛 も動かさずに坐っていました。
芥川龍之介 / 杜子春
笑い方もぎごちなかった。見映えのしない平べったい目鼻立ちは、笑うことを 億劫 がっているように見えた。
向田邦子 / だらだら坂「思い出トランプ(新潮文庫)」に収録 amazon
不安げな色をにわか作りの気丈さで覆い隠し
雫井 脩介「火の粉 (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
自分自身を平気で虐 げる人のように、ふろしき包みの中から乱暴に幾枚かの絵を引き抜いて
有島武郎 / 生まれいずる悩み
同じカテゴリの表現一覧
性格・態度 の表現の一覧
人物表現 大カテゴリ