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水鳥はもう寝たのか、障子の硝子戸 を透してみると上野の森は深夜のようである。それに引代え廊下を歩く女中の足音は忙しくなり、二つ三つ隔てた座敷から絃歌 の音も聞え出した。料亭持前の不夜の営みはこれから浮き上りかけて来たようである。
岡本かの子 / 雛妓 ページ位置:18% 作品を確認(青空文庫)
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前後の文章を含んだ引用
......届いて、さてはその照り返しで枯蓮の茎のO字をわたくしの眼にいちじるしく映じさすのであった。更に思い廻 らされて来るこれから迎えようとする幾歳かの茫漠 とした人世。 水鳥はもう寝たのか、障子の硝子戸 を透してみると上野の森は深夜のようである。それに引代え廊下を歩く女中の足音は忙しくなり、二つ三つ隔てた座敷から絃歌 の音も聞え出した。料亭持前の不夜の営みはこれから浮き上りかけて来たようである。そのとき遠くの女中の声がして、 「かの子さーん」 と呼ぶのが聞えた。それはわたくしと同名の呼名である。わたくしと逸作は、眼を円くして見合い、含み笑いを唇できっと引......
単語の意味
隔てる(へだてる)
女中(じょちゅう)
深夜(しんや)
隔てる・・・間に何か置く。間に何か置いて交流や行き来できないようにする。時間的、空間的に間をあける。
女中・・・中で(=住み込みで)働く女性。旅館や料亭、他所の家庭などで住み込みで働く、お手伝いさん。
深夜・・・真夜中。夜更け。深更(しんこう)。
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夜が近づいて、その夜の入り口からも人はどんどんあふれてくるようだった。
川上 未映子 / あなたたちの恋愛は瀕死「乳と卵(らん) (文春文庫)」に収録 amazon
(闇に比べて)いくらか黒さを失った夜があった。 しかし、それとても黒の色調をなにほどか薄くしただけのことで、やはり一様に薄暗い、 黯澹 たる闇が続いていた。ただ一つの光とて見えない。
阿刀田 高 / 捩れた夜「ナポレオン狂 (講談社文庫)」に収録 amazon
道が暗いのでハーモニカを吹きながら家へ帰った。
林芙美子 / 新版 放浪記
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アパートの郵便受に邪慳な音で朝刊が差し込まれる。
向田邦子 / マンハッタン「思い出トランプ(新潮文庫)」に収録 amazon
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店内には物が博物館のように立ち並び
吉本 ばなな / らせん「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
円柱にぴったりと巻かれたつるつるの広告
川上 未映子「乳と卵(らん) (文春文庫)」に収録 amazon
室内自体が音を食べている生き物みたいに、あらゆる音を吸い込んでいく
辻 仁成 / グラスウールの城 amazon
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(果物屋)生き生きとした果実の青くさい 匂いが満ちていた。明るいライトに照らされてぎっしりと並ぶ鮮やかな赤やオレンジや黄がまぶしくて、南国にいるようだった。
吉本ばなな / うたかた「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
サーチライトに照らされた白い建物が見えてきた。山の陰に隠された秘密の要塞のように空港は活気に満ちていて、それは今まで走ってきた人気のない雪道とは対照的だった。
林 真理子 / 最終便に間に合えば「最終便に間に合えば (文春文庫)」に収録 amazon
雨の日には運転手が見落としそうなくらいの惨めな駅
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 amazon
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