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それは無防備に増殖した、奇形の果実のようだった。表面には細かいささくれが広がり、ゆるやかな曲線模様が織り込まれていた。あまりにも大きくなりすぎ、自分でも形をまとめることができなくなって、あちこちがひび割れていた。  そのひびの間から、はちみつがこぼれていた。血液のように濃く、静かに、ひたひたと流れていた。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 ページ位置:98% 作品を確認(amazon)
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蜂(はち)
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......、すぐには蜂の巣だと分らなかった。平たい空間の中に唐突に転がっていたし、信じられない大きさだったし、わたしは一度も蜂の巣をじっくり眺めたことなどなかったからだ。それは無防備に増殖した、奇形の果実のようだった。表面には細かいささくれが広がり、ゆるやかな曲線模様が織り込まれていた。あまりにも大きくなりすぎ、自分でも形をまとめることができなくなって、あちこちがひび割れていた。 そのひびの間から、はちみつがこぼれていた。血液のように濃く、静かに、ひたひたと流れていた。 わたしは羽音を聞きながら、その風景を眺めた。湾曲した肋骨を抱え眠りに落ちている先生や、美しい左指とともに消えてしまった彼や、完璧な肩甲骨でシュートを打ち込むい......
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