子供の時に乳母 に抱かれて、月蝕 を見た気味の悪さ
芥川龍之介 / 袈裟と盛遠 ページ位置:70% 作品を確認(青空文庫)
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月食・日食
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前後の文章を含んだ引用
......ろ私を唆 かすような、やさしい語 をかけてくれる。が、一度自分の醜さを知った女の心が、どうしてそんな語 に慰められよう。私はただ、口惜 しかった。恐しかった。悲しかった。子供の時に乳母 に抱かれて、月蝕 を見た気味の悪さも、あの時の心もちに比べれば、どのくらいましだかわからない。私の持っていたさまざまな夢は、一度にどこかへ消えてしまう。後にはただ、雨のふる明け方のような寂しさが......
単語の意味
月食・月蝕(げっしょく)
乳母(うば)
月食・月蝕・・・太陽と月の間に来た地球の影が月を隠す現象。月が欠けて見える。月の一部が見えなくなることを「部分月食」、全部見えなくなることを「皆既月食」という。
乳母・・・乳のでない母親に代わって赤ん坊に乳を与えて、育てる女性。現在のような良質の粉ミルクが得られない時代に活躍した。
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子供の時に乳母 に抱かれて、月蝕 を見た気味の悪さ
芥川龍之介 / 袈裟と盛遠
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西の空に赤い鳥の羽を一面にまき散らしたような夕焼けの雲
大庭みな子 / 桟橋にて「三匹の蟹」に収録 amazon
舞台とは反対の方面で、しきりに花火を揚げる。花火の中から風船が出た。帝国万歳とかいてある。天主の松の上をふわふわ飛んで営所のなかへ落ちた。次にぽんと音がして、黒い団子が、しゅっと秋の空を射抜くように上がると、それがおれの頭の上で、ぽかりと割れて、青い煙が傘の骨のように開いてだらだらと空中に流れ込んだ。風船がまた上がった。
夏目 漱石 / 坊っちゃん amazon
瞬き始めた空に花火が咲いた。一つ、二つ。九時から予定されている本格的な打ち上げの、前座みたいな花火だった。赤一色だけの火の花は、すぐに萎れて消えた。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー (文春文庫)」に収録 amazon
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