ぽちぽちと紅色 の新芽が、無数に蔦の蔓 から生えていた。それは爬虫類 の掌のようでもあれば、吹きつけた火の粉のようでもある。
岡本かの子 / 母子叙情 ページ位置:1% 作品を確認(青空文庫)
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蔦(つた)
芽・新芽・若芽
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前後の文章を含んだ引用
......扉は、閂 がかけてある。そして、その閂の上までも一面に、蜘蛛手形 に蔦 の枝が匍 っている。扉は全面に陰っているので、今までは判 らなかったが、今かの女が近寄ってみると、ぽちぽちと紅色 の新芽が、無数に蔦の蔓 から生えていた。それは爬虫類 の掌のようでもあれば、吹きつけた火の粉のようでもある。 かの女は「まあ!」といって、身体は臆 してうしろへ退いたが、眼は鋭く見詰め寄った。微妙なもの等の野性的な集団を見ることは、女の感覚には、気味の悪いところもあった......
単語の意味
手の平・掌(てのひら)
紅色(べにいろ・くれないいろ)
手の平・掌・・・手首から先の、物を握ったときに内側になる面。掌(たなごころ)。
紅色・・・鮮やかな赤色。とくに、紅花(べにばな)の汁で染めた赤色。
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蔦(つた)の表現・描写・類語(植物のカテゴリ)の一覧 ランダム5
壁面を蔦蔓 がたんねんに這 い繁って
岡本かの子 / 母子叙情
岡本かの子 / 母子叙情
(蔦は)まるで私たちが昔かけた房附きの毛糸の肩掛けのよう
岡本 かの子 / 蔦の門 amazon
若人の濡れ髪を干すように閂の辺まで鬱蒼と覆い掛り垂れ下る蔦葉の盛りを見て
岡本 かの子 / 蔦の門 amazon
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芽・新芽・若芽の表現・描写・類語(植物のカテゴリ)の一覧 ランダム5
芽というものが持つ小さい逞 しいいのちは、かの女の愛感を牽 いた。
岡本かの子 / 母子叙情
四分ほどに延びた芽生えが、弱々しく、ひょろり、ひょろりと並んでいる。
宮本百合子 / 伸子
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(すすきが)人間のように群がって、河原の最もささやかな 堆土 にも、根を下しに来た。繊毛が風に立ち、 花穂 の周囲に 戯れて、それから遠い空間に 撒開 した。
昇平, 大岡「野火(のび) (新潮文庫)」に収録 amazon
自然には、人間を元気づける元素が、特別多いようであった。
宮本百合子 / 伸子
竹は苦しい呼吸をするように小さな枝が一つずつぴらりぴらりと動いて
長塚 節 / 土 amazon
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