一ふきの風も動かぬ、もーっと水蒸気のかかった八月の暑さ
宮本百合子 / 伸子 ページ位置:88% 作品を確認(青空文庫)
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夏
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......の上に畳を五枚敷き並べ、彼女はその隅に机を置いて暮した。三尺に一間の小窓があり、そこから大樫の木の梢が見えた。その樫の木に終日油蝉が鳴いた。一面の青田で、日中は一ふきの風も動かぬ、もーっと水蒸気のかかった八月の暑さを、その蝉の声は更に堪え難くした。伸子は流れる汗を濡手拭にふきつつ、病的な根気でその日その日を送っていたのであった。 はからず、震災は伸子を、そのような意志喪失......
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彼は汽車の窓から 飽かず外の景色を眺めて来た。盛夏の力というようなものが感ぜられ、彼は近頃に珍しく元気な気持になった。
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
夏になるにしたがって、町そのものが障子を取り外したようになる
佐多稲子 / 素足の娘 amazon
腿の匂いが暑気にむせ返るような夏の日
阿部昭 / 桃 amazon
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花火にこと寄せて、人に気づかれぬように肩を抱く
曽野 綾子 / 夫婦の情景 amazon
たっぷりとふくらんだ線香花火の玉のひかりに、あたし達三人の顔がぼうっと照らされている。
朝井 リョウ / ひーちゃんは線香花火「もういちど生まれる (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
夏の光があたかも目に見えぬ分水嶺を越えるかのようにその色あいを微かに変える頃
村上春樹 / 1973年のピンボール amazon
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