すべては復讐するために。自らの手を血で汚し、人の心を捨てて獣のように。

見返すなんてばかみたいだな、と私は思った。見返すということは、相手と同じ価値観を共有するということだ。ピラミッドの存在を肯定するということだ。

刺客を送る

血のしたたる復讐（ふくしゅう）

「今度会ったらタダじゃすまさん！」

（戦車の光）前方の林に、巨人の眼のように輝いて動く、数個の光源が並んでいる

父が病身で、入院退院をくりかえしていて、二日も会いにゆかないと、ふざけ半分、皮肉半分、「どこか、ご旅行でしたか」という。四日もゆかないと「パリへお出かけでしたか」といった。一週間、会わないと、もうすねて「あなたはどなたです」という始末であった。

帝都の空を蹂躙するＢ29

米空軍の空襲たけなわな東京や横浜の焼けただれた風景や、もはや「敗戦必至」となった絶望感とが、嘘のように感じられた。

私は何かせっぱつまったものを感じた。