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ほんの少し知った後でも彼のその、どうしてか“〝冷たい”〟印象は変わらなかった。ふるまいや口調がどんなにやさしくても彼は、ひとりで生きている感じがした。つまり彼はその程度の知り合いにすぎない、赤の他人だったのだ。
吉本 ばなな / キッチン「キッチン (角川文庫)」に収録 ページ位置:11% 作品を確認(amazon)
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前後の文章を含んだ引用
......もあった気がした。 彼は、長い手足を持った、きれいな顔だちの青年だった。素姓はなにも知らなかったが、よく、ものすごく熱心に花屋で働いているのを見かけた気もする。ほんの少し知った後でも彼のその、どうしてか“〝冷たい”〟印象は変わらなかった。ふるまいや口調がどんなにやさしくても彼は、ひとりで生きている感じがした。つまり彼はその程度の知り合いにすぎない、赤の他人だったのだ。 夜は雨だった。しとしとと、あたたかい雨が街を包む煙った春の夜を、地図を持って歩いていった。 田辺家のあるそのマンションは、うちからちょうど中央公園をはさんだ反......
単語の意味
赤の他人(あかのたにん)
赤の他人・・・まったくの他人。縁もゆかりも無い人。
「赤」は「明(あか)るい」「明らか」の「明」と同一語源。名詞の上に付くことで、その言葉を強調する「全くの」「すっかり」「明らかな」「それ以外の何物でもない」などの意味を持つ。「真っ赤なうそ」も同じ使われ方。
「赤」は「明(あか)るい」「明らか」の「明」と同一語源。名詞の上に付くことで、その言葉を強調する「全くの」「すっかり」「明らかな」「それ以外の何物でもない」などの意味を持つ。「真っ赤なうそ」も同じ使われ方。
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どんな他人も、あなたにとっては、いずれ自分を映す鏡にしかすぎない
安部 公房 / 他人の顔 amazon
彼女は他者の存在がハリボテのように感じられ
島田 雅彦 / ドンナ・アンナ amazon
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お互い相手をそよ吹く風ぐらいにしか感じられないほどに、親しい。
あさの あつこ「ガールズ・ブルー〈2〉 (文春文庫)」に収録 amazon
(DVにより行き場を失った女性たちの緊急避難所、セーフハウス)アパートには電話がひとつ、テレビがひとつあり、それらは玄関のわきにある共同のホールに置かれていた。ホールにはまた古いソファ・セットとダイニングテーブルがあった。女たちの多くは、一日の大半の時間をその部屋で過ごしているようだった。しかしテレビがつけられることはほとんどなかった。テレビがついていても、音量は聞こえるか聞こえないかという程度だ。女性たちはむしろ一人で本を読んだり、新聞を広げたり、編み物をしたり、額を寄せて誰かとひそひそ声で語り合うことの方を好んだ。中には一日絵を描いているものもいた。そこは不思議な空間だった。現実の世界と、死後の世界の中間にあるかりそめの場所みたいに、光がくすんで淀んでいた。晴れた日にも曇った日にも、昼間でも夜でも、同じ種類の光がそこにはあった。
《…略…》四人の女たちが丸いテーブルを囲み、額を寄せ合うようにして、小声でひそひそと話し合っていた。青豆の目には、それは現実の風景には見えなかった。彼女たちは架空の絵画の構図をとっているみたいに見えた。タイトルは「秘密を分かち合う女たち」といったものになるかもしれない。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
私たち四人は強い信頼関係で結ばれて、大海にこぎ出していかなければならない状態にあるはずなのに、小さな船はただ固まっているだけで、実はどこもつながっていないような、寂しさと不安が込み上げてきます。
湊 かなえ「花の鎖 (文春文庫)」に収録 amazon
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