吊橋を渡ったところから径は杉林のなかへ入ってゆく。杉の梢 が日を遮 り、この径にはいつも冷たい湿っぽさがあった。ゴチック建築のなかを辿 ってゆくときのような、犇 ひしと迫って来る静寂と孤独とが感じられた。
梶井基次郎 / 筧の話 ページ位置:10% 作品を確認(青空文庫)
この表現が分類されたカテゴリ
山道・峠道
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......れに比べて山径の方は陰気ではあったが心を静かにした。どちらへ出るかはその日その日の気持が決めた。 しかし、いま私の話は静かな山径の方をえらばなければならない。 吊橋を渡ったところから径は杉林のなかへ入ってゆく。杉の梢 が日を遮 り、この径にはいつも冷たい湿っぽさがあった。ゴチック建築のなかを辿 ってゆくときのような、犇 ひしと迫って来る静寂と孤独とが感じられた。私の眼はひとりでに下へ落ちた。径の傍らには種々の実生 や蘚苔 、羊歯 の類がはえていた。この径ではそういった矮小 な自然がなんとなく親しく――彼らが陰湿な会話をはじめる......
単語の意味
湿っぽい(しめっぽい)
静寂(せいじゃく)
湿っぽい・・・1.水気を含んでいて、ジメジメしている。
2.気分が落ち込んでいる。陰気な感じがする。
2.気分が落ち込んでいる。陰気な感じがする。
静寂・・・物音一つなく静まり返っていること。ひっそりとして寂しさのあること。また。そのさま。「寂」は訓読みで「しず(か)」とも読める。
ここに意味を表示
山道・峠道の表現・描写・類語(道・道路のカテゴリ)の一覧 ランダム5
山の裾を切り取るようにして、路が細い帯のように捲く
佐多 稲子 / 素足の娘 amazon
吊橋を渡ったところから径は杉林のなかへ入ってゆく。杉の梢 が日を遮 り、この径にはいつも冷たい湿っぽさがあった。ゴチック建築のなかを辿 ってゆくときのような、犇 ひしと迫って来る静寂と孤独とが感じられた。
梶井基次郎 / 筧の話
このカテゴリを全部見る
「道・道路」カテゴリからランダム5
柳の並木も歯が抜けたように終っていた。
村上春樹「風の歌を聴け (講談社文庫)」に収録 amazon
蛇が皿を巻いたような丘の小道をぐるぐると下りて行く。
鈴木 三重吉 / 千鳥 amazon
同じカテゴリの表現一覧
道・道路 の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ