一条の細い煙が、朝の微風になぶられて、ためらうように揺れながら、次第にその勢を増しつつあった。
昇平, 大岡「野火(のび) (新潮文庫)」に収録 ページ位置:20% 作品を確認(amazon)
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けむり
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前後の文章を含んだ引用
......を取りに入った病兵が、火を失したかであった。 左手に逃げて行く兵士の群は、並足となって、谷間の奥に孤立した一つの丘を目指して進んでいた。その丘の禿げた頂上から、一条の細い煙が、朝の微風になぶられて、ためらうように揺れながら、次第にその勢を増しつつあった。 砲声は止んだ。小屋は今は太い火束となって、盛んに燃えていた。火の中から、しゅるしゅると水の流れるような音が、聞えて来た。風はなく、煙は真直に突立って、私の眼の......
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けむりの表現・描写・類語(火・煙・灰のカテゴリ)の一覧 ランダム5
漫画の吹き出しのように天井に浮かんだ白い煙
村上 春樹 / 1973年のピンボール amazon
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部落にかけられた火は一角だけではなく、周りの藁屋根に燃えうつり、赤黒い炎が靄のなかで、まるで生きもののように動いていました。それなのにひどく静かでした。まるで部落とそこに住む百姓たちが、黙々とこの苦しみを受けいれているかのようでした。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
むくむくと透視のきかない煙幕が盛り上がる
島尾 敏雄 / 出孤島記 amazon
ふいごの火がアメダマよりもきれいな色となり
庄野 英二 / 星の牧場 amazon
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