つまんだ程の顎尖 から、丸い顔の半へかけて、人をたばかって、人は寧 ろそのたばかられることを歓 ぶような、上質の蠱惑 の影が控目にさし覗 いている。
岡本かの子 / 雛妓 ページ位置:84% 作品を確認(青空文庫)
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魔性の女
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前後の文章を含んだ引用
......人目に触れずしてかつ降り、かつ消えてはまた降り積む、あの北地の奥のしら雪のように、その白さには、その果敢 なさの為めに却 って弛 めようもない究極の勁 い張りがあった。つまんだ程の顎尖 から、丸い顔の半へかけて、人をたばかって、人は寧 ろそのたばかられることを歓 ぶような、上質の蠱惑 の影が控目にさし覗 いている。澄していても何となく微笑の俤 があるのは、豊かだがういういしい朱の唇が、やや上弦の月に傾いているせいでもあろうか。それは微笑であるが、しかし、微笑以前の微笑である......
単語の意味
蠱惑(こわく)
蠱惑・・・神秘的な魅力で人の心をひきつけて、惑わすこと。
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何かに寄りすがらなければ生きて行けない女
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