海は夕暮の陽を受け赤く、ジャンク（帆船）が黒い 染みのように点々と浮んでいました。

夕日になろうとする太陽の光を反射して湖面がキラキラと輝く

夕日が次第に低くなり、海が濃い藍色に変化していく

町の後ろの山へ廻った陽がその影を徐々に海へ拡げてゆく。町も磯も今は休息のなかにある。その色はだんだん遠く海を染め分けてゆく。沖へ出てゆく漁船がその影の領分のなかから、日向のなかへ出て行くのをじっと待っているのも楽しみなものだ。オレンジの混った弱い日光がさっと船を漁師を染める。見ている自分もほーっと染まる。

朱を流しながら灼熱の太陽をどっぷり飲み込んでいく海

彼らは沼辺の葦のように集まれば互いにただざわざわと騷ぐ

最初の 嵐 が襲ってきました。五月六日の夜のことです。強風がまず東南から吹きつけてきました。熟練した二十五人の水夫たちも 帆桁 をおろし 前檣ぜんしょう に小帆を揚げましたが、夜半には風波に舟を 委せるだけで、そのうち船の前方に裂け目が入り、浸水がはじまりました。ほとんど一晩の間、我々はこの裂け目に布をつめ、水を外にくみ出す作業を続けねばなりませんでした。

（森の中）木々の深い影が抱くように覆っている池

海は夕暮の陽を受け赤く、ジャンク（帆船）が黒い 染みのように点々と浮んでいました。

星は語らない。ただはるかな山すそから、干潮になった無月の潮騒（しおざい）が、海妖（かいよう）の単調な誘惑の歌のように、なまめかしくなでるように聞こえて来るばかりだ。風が落ちたので、凍りついたように寒く沈み切った空気は、この海のささやきのために鈍く震えている。