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(黒玉、発火しない失敗した打ち上げ花火)宙へあがった八寸玉は、雲の中へでもはいってしまったようにいつまで何の光もない。  どかア――ん。  莫迦ばかみたいな音が、真っ暗な空の奥にひびいた。
吉川英治 / 銀河まつり ページ位置:88% 作品を確認(青空文庫)
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打ち上げ花火
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......た膝形ひざがたのまま、ひとみもそれを追って空に走っている。  どうだ!  ――にらむように宙天を見つめて、彼は、息の音をとめていた。だが、どうしたんだろう? 瞬時、また瞬時、宙へあがった八寸玉は、雲の中へでもはいってしまったようにいつまで何の光もない。  どかア――ん。  莫迦ばかみたいな音が、真っ暗な空の奥にひびいた。 「黒玉だッ」  誰かの口から、こう絶叫すると、唖然としていた一同が余りのことに、舌をもつれさせて、 「ど、どうしたんだ七!」 「くろ、くろ、黒玉だぞ七!」  泣くように......
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