遠くには巨大な港があった。何本ものクレーン、浮ドック、箱のような倉庫、貨物船、高層ビル、そういったものが見渡せる。右手には内側に向って湾曲した海岸線に沿って、静かな住宅街やヨット・ハーバー、酒造会社の古い倉庫が続き、それが一区切りついたあたりからは工業地帯の球形のタンクや高い煙突が並び、その白い煙がぼんやりと空を被っていた。
村上 春樹「1973年のピンボール (講談社文庫)」に収録 ページ位置:28% 作品を確認(amazon)
この表現が分類されたカテゴリ
漁港・波止場
しおりに登録する
前後の文章を含んだ引用
......てしまった彼自身の世界を眺めた。白い砂浜と防波堤、緑の松林が押し潰されたように低く広がり、その背後には青黒い山並みが空に向けてくっきりと立ち並んでいる。 左手の遠くには巨大な港があった。何本ものクレーン、浮ドック、箱のような倉庫、貨物船、高層ビル、そういったものが見渡せる。右手には内側に向って湾曲した海岸線に沿って、静かな住宅街やヨット・ハーバー、酒造会社の古い倉庫が続き、それが一区切りついたあたりからは工業地帯の球形のタンクや高い煙突が並び、その白い煙がぼんやりと空を被っていた。そしてそれが十歳の鼠にとっての世界の果てでもあった。 少年時代を通しての春から秋の初めにかけて、鼠は何度も灯台に通った。波の高い日にはしぶきが彼の足を洗い、風が......
単語の意味
右手(みぎて)
沿う・添う・副う(そう)
右手・・・1.右の手。 ⇔ 左手(ひだりて)。
2.右の方向。右側。
2.右の方向。右側。
沿う・添う・副う・・・1.(「沿う」と書いて)長い線状のものの近くを離れずに平行に進む。つたっていく。
2.(「沿う」「添う」「副う」と書いて)期待されるところから外れない状態を保つ。ある基準から離れないようにする。
2.(「沿う」「添う」「副う」と書いて)期待されるところから外れない状態を保つ。ある基準から離れないようにする。
ここに意味を表示
漁港・波止場の表現・描写・類語(店・施設のカテゴリ)の一覧 ランダム5
埋め立てでほとんどの海岸線を奪われたあと、辛うじて残った小さな漁港には、小型の漁船が数艘停泊している。波止めで囲まれた湾内はおだやかで、漁船を繋ぐロープの軋む音だけが、ときどき思い出したように辺りに響く。
吉田修一「悪人」に収録 amazon
このカテゴリを全部見る
「店・施設」カテゴリからランダム5
この小さな劇場では毎日のように、お笑いライブが開催されてきた。劇場の歴史分の笑い声が、この薄汚れた壁には吸収されていて、お客さんが笑うと、壁も一緒になって笑うのだ。
又吉 直樹 / 火花 amazon
ブランコの軋り音(ね)は、たえず歯ぎしりのように
三島由紀夫 / 金閣寺 amazon
同じカテゴリの表現一覧
店・施設 の表現の一覧
風景表現 大カテゴリ