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(駅のプラットホームから見た山あいの町)方向を異にするふたつの山なみが町の眼前で合流し、マッチの炎を風からまもるためにあわせられた手のひらのように町をすっぽりと包んでいた。細長いプラットフォームはそびえ立つ巨大な波にまさにつっこんでいこうとする貧弱なボートだった。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 ページ位置:69% 作品を確認(amazon)
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田舎(いなか)
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前後の文章を含んだ引用
......。プラットフォームを吹く風には既に秋の終りを思わせる冷ややかさがあった。太陽は早くも中空を滑り下りて、黒々とした山の影を宿命的なしみのように地面に這わせていた。方向を異にするふたつの山なみが町の眼前で合流し、マッチの炎を風からまもるためにあわせられた手のひらのように町をすっぽりと包んでいた。細長いプラットフォームはそびえ立つ巨大な波にまさにつっこんでいこうとする貧弱なボートだった。 我々はあっけにとられて、しばらくそんな風景を眺めていた。「羊博士の昔の牧場はどこにあるの?」と彼女が訊ねた。「山の上だよ。車で三時間かかる」「今からすぐに行く......
単語の意味
眼前(がんぜん)
異(い)
手の平・掌(てのひら)
眼前・・・目の前。その人が見ているすぐ目のところ。目前(もくぜん)。
・・・1.ことなる。違う。
2.なみでない。珍しい。すぐれている。
3.あやしい。普通でない。
4.正当でない。
手の平・掌・・・手首から先の、物を握ったときに内側になる面。掌(たなごころ)。
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ああ田舎にも退屈してしまった。
林芙美子 / 新版 放浪記
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飛び去る景色の何もかもが速く、新鮮に映る。
吉本 ばなな「アムリタ(下) (新潮文庫)」に収録 amazon
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