小さな黄金虫 が一匹ぶうんと音を立てて、飛んで来て、その光の輪にはいったかと思うとたちまち羽根を焼かれて、下へ落ちた。青臭いにおいが、ひとしきり鼻を打つ。
芥川龍之介 / 偸盗 ページ位置:90% 作品を確認(青空文庫)
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揺れる炎・ともし火
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前後の文章を含んだ引用
......う事実を確かめたいために、重い眶 を開いて、じっとともし火の光を見た。灯 は、その炎のまわりに無数の輪をかけながら、執拗 い夜に攻められて、心細い光を放っている。と、小さな黄金虫 が一匹ぶうんと音を立てて、飛んで来て、その光の輪にはいったかと思うとたちまち羽根を焼かれて、下へ落ちた。青臭いにおいが、ひとしきり鼻を打つ。 あの虫のように、自分もほどなく死ななければならない。死ねば、どうせ蛆 と蝿 とに、血も肉も食いつくされるからだである。ああこの自分が死ぬ。それを、仲間のものは、歌......
単語の意味
青臭い(あおくさい)
黄金虫・金亀子(こがねむし)
青臭い・・・青々とした草のようなにおいがする。
黄金虫・金亀子・・・コガネムシ科の甲虫の総称。背中は丸みのある堅い殻で覆われている。背中の殻は美しい色を帯びた緑色で金属のような光沢があり、名前の由来でもある。音を立てて飛ぶ。植物の葉や根を食べる害虫。幼虫は地虫(じむし)といい、土の中に住んで腐った植物質や根を食べる。
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芥川龍之介 / 偸盗
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