ハイヒールの踵くらいの小さな墓

壮大

肉をミンチにする、かき氷機のお化けみたいな機械

建築よりもむしろ途方もない怪物に近い稀代（きだい）の大寺院

絶壁のようにそびえる巨大な物質

永久（とわ）の住家（すみか）

長生きしたり、家を大きくしたりした人たちの墓は大きく、子供や赤ん坊のときに死んだものの墓は小さく、その不揃いな様子が、不断着をきた人のようで自然な表情が感じられ

霊園内は壮観なほど、あたり一面墓だらけだ。

（墓地）五月の柔らかな日ざしの下では、生も死も同じくらい安らかなように感じられた。

霊園は墓地というよりは、まるで見捨てられた町のように見える。敷地の半分以上は空地だった。

野良犬のように撃ち殺される

（卵巣摘出）不透明な白いビニールの手袋をはめた手が、何本も何本もその肉体の上で交差する。内臓は赤く充血して、鮮やかで、きれいでさえある。そして奥の方から卵巣が引っ張り出される。重さを量るように、一人の医師がそれを掌にのせる。卵巣は、震えるように小さく揺れる。彼女がこれを抱え込んでいた時の痛みが、全部この中に詰まっているかのように、表面がピンと張り詰めて、緊張している。医師がメスの先を表面に突き立てると、一筋の裂け目が走る。

あられのような弾丸がそそぐ

帰途につく

（倒産）被爆してから十三年、又々土の上にたたきつけられてしまったような自分

小さい箱のようなレストラン

（秘密を打ち明けられて）いつもあっけらかんとしている板橋香澄の裏側に、何か深刻な背景が見えるようで、わたしは背筋を伸ばす。

（苦労して理解する）洋子さんが今、水溜まりでも飛び越えるような調子で到達した認識のために、俺は数年がかりでまず橋を架けて、やっとどうにかその谷を越えるような感じだよ。

鬼瓦ぐらいな大硯（おおすずり）

絶壁のようにそびえる巨大な物質