蝋燭の灯が、フッと吹き消されたような寂しい心持
宮本百合子 / 伸子 ページ位置:74% 作品を確認(青空文庫)
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寂しい
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......恐怖めいたものを心臓に感じた。 「どうして?――ちがうの?」 「私は、あなたの足のためにいいだろうと思ったから来たんです」 伸子は、自分達の間に危いながら燃えていた蝋燭の灯が、フッと吹き消されたような寂しい心持がした。 「それで、こないだも、大丸へよったりしちゃいけなかったの?」 佃は、しかし黙り込んで、それには答えなかった。 そのような感情の齟齬 が、帰るまで、遂に彼ら......
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