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起きている窓はなく、深夜の静けさは暈 となって街燈のぐるりに集まっていた。固い音が時どきするのは突き当っていく黄金虫 の音でもあるらしかった。
梶井基次郎 / ある心の風景 ページ位置:0% 作品を確認(青空文庫)
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街灯・外のあかり
夜のしじま(静けさ)
深夜
虫が飛ぶ・羽音
コガネムシ
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前後の文章を含んだ引用
一 喬 は彼の部屋の窓から寝静まった通りに凝視 っていた。起きている窓はなく、深夜の静けさは暈 となって街燈のぐるりに集まっていた。固い音が時どきするのは突き当っていく黄金虫 の音でもあるらしかった。 そこは入り込んだ町で、昼間でも人通りは少なく、魚の腹綿 や鼠の死骸は幾日も位置を動かなかった。両側の家々はなにか荒廃していた。自然力の風化して行くあとが見えた。紅殻 が古びてい、荒壁の塀 は崩れ、人びとはそのなかで古手拭のように無気力な生活をしているように思われた。喬の......
単語の意味
暈(かさ)
ぐるり
深夜(しんや)
黄金虫・金亀子(こがねむし)
暈・・・1.光の輪。ときどき太陽を囲うようにできるドーナツ形の光。また、その現象。ハロ。
2.疲れたときに目の周りに出てくる黒いあざのようなもの。「暈」で「くま」とも読む。
2.疲れたときに目の周りに出てくる黒いあざのようなもの。「暈」で「くま」とも読む。
ぐるり・・・1.周囲。まわり。あらゆる方向。
2.物が一回転するさま。物の周りを一回転するさま。ぐるっと。
2.物が一回転するさま。物の周りを一回転するさま。ぐるっと。
深夜・・・真夜中。夜更け。深更(しんこう)。
黄金虫・金亀子・・・コガネムシ科の甲虫の総称。背中は丸みのある堅い殻で覆われている。背中の殻は美しい色を帯びた緑色で金属のような光沢があり、名前の由来でもある。音を立てて飛ぶ。植物の葉や根を食べる害虫。幼虫は地虫(じむし)といい、土の中に住んで腐った植物質や根を食べる。
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街灯・外のあかりの表現・描写・類語(光と影のカテゴリ)の一覧 ランダム5
ビルから明かりが消えると、建物全体が瞼を閉じるかのように感じられた。
伊坂 幸太郎 / グラスホッパー amazon
灯の消えた街灯の硝子球が、剥きだしの白い果肉のように身をすくめて立つ
長野 まゆみ / 銀木犀 amazon
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夜のしじま(静けさ)の表現・描写・類語(時間帯(朝・昼・夜)のカテゴリ)の一覧 ランダム5
川の水音の他には何も聞こえなかった。町全体が眠り込んでしまったようだった。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
人通りのない朱雀 の大路 を、二人は静かに馬を進めて行った。兄も黙っていれば、弟も口をきかない。しんとした夜は、ただ馬蹄 の響きにこだまをかえして、二人の上の空には涼しい天の川がかかっている。
芥川龍之介 / 偸盗
僕たちが喋るのをやめると、それに合わせて街中の誰もが呼吸を止めるかのようだ。
伊坂 幸太郎 / 砂漠 amazon
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深夜の表現・描写・類語(時間帯(朝・昼・夜)のカテゴリ)の一覧 ランダム5
夜半の空気が部屋中に濃く満ちて、息をひそめていた。遠くを渡ってゆく風の音がしきりに聞こえた。
吉本ばなな / サンクチュアリ「うたかた/サンクチュアリ」に収録 amazon
黎明 はまだ遠く鶏は鳴く 時刻 ではない。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
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虫が飛ぶ・羽音の表現・描写・類語(昆虫・虫のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(ハエが飛んでいるような羽音は、)ぷーんともずーむとも書き表せるような音だった。空の上から聞こえてくるようでもあったし、床下から響いてくるようでもあった。なにかが震えて動いている、そんな感じの音だった。
瀬名 秀明 / パラサイト・イヴ amazon
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コガネムシの表現・描写・類語(昆虫・虫のカテゴリ)の一覧 ランダム5
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「光と影」カテゴリからランダム5
肩に陽差しがあたっていた。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
水銀灯が庭の木立と芝生を青く照らしている。何か深い水底を思わせる色だった。
三浦 綾子 / 続 氷点 amazon
「外の設備・工作物」カテゴリからランダム5
蒸し暑さに電灯に灯まで汗をかいたように濡れて見える
連城三紀彦 / 紅き唇 amazon
冷たい蒼白さで瓦斯燈がぼんやり灯っている
宮本百合子 / 伸子
「昆虫・虫」カテゴリからランダム5
鼻のつまったようなみんみん蝉の声
長塚 節 / 土 amazon
いなごの大群は山を越えてやってきた。はじめのうち、それは巨大な暗雲に見えた。次にぶうんという地鳴りがやってきた。
村上 春樹「羊をめぐる冒険」に収録 amazon
「時間帯(朝・昼・夜)」カテゴリからランダム5
夕日が彼を柔らかく包んでいた。
小川 洋子 / 夕暮れの給食室と雨のプール「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
陽 が落ちかけて、 川面 に朱色のさざ波が 閃 めき始める
宮本 輝「道頓堀川(新潮文庫)」に収録 amazon
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