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(詳細な思い出話)喜助の話はよく条理が立っている。ほとんど条理が立ち過ぎていると言ってもいいくらいである。これは半年ほどの間、当時の事を幾たびも思い浮かべてみたのと、役場で問われ、町奉行所 で調べられるそのたびごとに、注意に注意を加えてさらってみさせられたのとのためである。
森鴎外 / 高瀬舟 ページ位置:92% 作品を確認(青空文庫)
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前後の文章を含んだ引用
......いる弟の顔を見詰めていたのでございます。」 少しうつ向きかげんになって庄兵衛の顔を下から見上げて話していた喜助は、こう言ってしまって視線をひざの上に落とした。 喜助の話はよく条理が立っている。ほとんど条理が立ち過ぎていると言ってもいいくらいである。これは半年ほどの間、当時の事を幾たびも思い浮かべてみたのと、役場で問われ、町奉行所 で調べられるそのたびごとに、注意に注意を加えてさらってみさせられたのとのためである。 庄兵衛はその場の様子を目 のあたり見るような思いをして聞いていたが、これがはたして弟殺しというものだろうか、人殺しというものだろうかという疑いが、話を半分聞いた......
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覚えている・記憶があるの表現・描写・類語(記憶のカテゴリ)の一覧 ランダム5
(幼いころの記憶)思い出せる人生の最初の情景は何歳のころのものですかと。多くの人にとって、それは四歳か五歳のときのものだった。早くても三歳だった。それより前という例はひとつもない。子供が自分のまわりにある情景を、ある程度論理性を有したものとして目撃し、認識できるようになるのは、少なくとも三歳になってかららしい。それより前の段階では、すべての情景は理解不能なカオスとして目に映る。世界はゆるい粥(かゆ)のようにどろどろとして骨格を持たず、捉えどころがない。それは脳内に記憶を形成することなく、窓の外を過ぎ去っていく。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
電話番号を憶えているか不安だったが、実際に電話を前にボタンを押してみると、すぐに思い出した。
伊坂 幸太郎 / ラッシュライフ amazon
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忘れられない・心に強く残るの表現・描写・類語(記憶のカテゴリ)の一覧 ランダム5
陣治の表情はいつまでも十和子のなかに残り、ひとりでいるときなど気がつくとその記憶を 反芻 している。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
目の奥にいつまでも残った。
小川 洋子 / ドミトリイ「妊娠カレンダー (文春文庫)」に収録 amazon
もうずいぶん前のことだが、記憶は鮮明だ。
吉本 ばなな / 新婚さん「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
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あれはいつのことだっけ、と青豆(人名)は思った。しかし時間は記憶の中でからまりあい、もつれた糸のようになっている。まっすぐな軸が失われ、前後左右が乱れている。抽斗の位置が入れ替わっている。思い出せるはずのことがなぜか思い出せない。今は一九八四年四月だ。私が生まれたのは、そう一九五四年だ。そこまでは思い出せる。しかしそのような刻印された時間は、彼女の意識の中で急速にその実体を失っていく。年号をプリントされた白いカードが、強風の中で四方八方にばらばら散っていく光景が目に浮かぶ。彼女は走っていって、それを一枚でも多く拾い集めようとする。しかし風が強すぎる。失われていくカードの数も多すぎる。1954, 1984, 1645, 1881, 2006, 771, 2041……そんな年号が次々に吹き飛ばされていく。系統が失われ、知識が消滅し、思考の階段が足元で崩れ落ちていく。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 1 amazon
十七年前に感じた畏れが、今また全身を支配していた。
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
ついさっきまで洗いながら考えていたことが、シャボンの泡が音もなく割れたみたいに、どうしても思い出せなくなる。
綿矢 りさ「しょうがの味は熱い (文春文庫)」に収録 amazon
(タマリスクという花の名が思い出せない)あれはなんという名だったか。砂嵐に 烟って一面に咲き乱れるという紅紫色の花。どうしても思い出せない。タマ……タマス……タクマ……タリスマ……タクラマ……。口のなかでどう唱えても最後にはタクラマカンという語になってしまう。
沼田 まほかる「彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
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