角のないその字体と感じのまるで似た、子供といえば円顔 の優等生のような顔をしているといったふうの、挿画《…略…》そうした単純に正直な児 がどこかにいるような気がしていた。
梶井基次郎 / 城のある町にて ページ位置:79% 作品を確認(青空文庫)
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丸顔
絵を描く
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前後の文章を含んだ引用
......いう題で、子供が朝日の方を向いて手を拡げている図などの記憶が、次つぎ憶い出されて来た。 国定教科書の肉筆めいた楷書の活字。またなんという画家の手に成ったものか、角のないその字体と感じのまるで似た、子供といえば円顔 の優等生のような顔をしているといったふうの、挿画のこと。 「何とか権所有」それをゴンショユウと、人の前では読まなかったが、心のなかで仮に極 めて読んでいたこと。そのなんとか権所有の、これもそう思えば国定教科書に似つかわしい、手紙の文例の宛名のような、人の名。そんな奥付の有様までが憶い出された。 ――少年の時にはその画のとおりの所がどこかにあるような気がしていた。そうした単純に正直な児 がどこかにいるような気がしていた。彼にはそんなことが思われた。 それらはなにかその頃の憧憬の対象でもあった。単純で、平明で、健康な世界。――今その世界が彼の前にある。思いもかけず、こんな田舎の緑......
単語の意味
丸顔・円顔(まるがお)
丸顔・円顔・・・まるい形の顔。
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自然の影絵に過ぎないではないか。向こうに見える山はそのまま寛大と希望とを象徴するような一つの生きた塊的 であるのに、君のスケッチ帳に縮め込まれた同じものの姿は、なんの表情も持たない線と面との集まり
有島武郎 / 生まれいずる悩み
粗末な画学紙の上には、たくましく荒くれた君の手に似合わない繊細な線が描かれ始めた。
有島武郎 / 生まれいずる悩み
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顔は猿のように赤かった
横山 秀夫「クライマーズ・ハイ (文春文庫)」に収録 amazon
彼の顔は縦よりも横に広い茶釜みたいな形
中山 義秀 / 碑「厚物咲・碑―他六篇 (1956年) (角川文庫)」に収録 amazon
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この愉快な人生にプロジットしよう
梶井基次郎 / ある崖上の感情
年とった獣のようにフェレイラはうずくまったまま身動きもしない。
遠藤周作「沈黙(新潮文庫)」に収録 amazon
もう随分前からそこに来ているらしく、女の表情に軽い 苛立ちに似たものが漂っている。
宮本 輝 / 螢川「螢川・泥の河(新潮文庫)」に収録 amazon
指先を髪の毛の中に滑り込ませながら
小川洋子 / 完璧な病室「完璧な病室 (中公文庫)」に収録 amazon
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