往来には砂ほこりが立つらしく風が吹き始めていた。

草が、圧（おさ）えられたようにいっせいに頭を風下に倒す

部屋に吹き込んでいた風が急にやみ、カーテンが下に垂れた。作業の途中で何か大事な案件をふと思い出した人のように。それから少しあって、気を取り直したように再びゆっくりと風が吹き始めた。

掌でぴしゃりと横面を張り撲（なぐ）るような河風。

（サヤエンドウ）フェリーから眺めた緑の畑に立って見れば、足の踏み場もないほど、びっちり草丈三〇センチ余のエンドウが、白い可憐な花を咲かせ、サヤを光らせ、海を渡る風にそよいでいる。

静かなる小春の風が、杉垣の上から出たる梧桐（ごとう）の枝を軽（かろ）く誘ってばらばらと二三枚の葉が枯菊の茂みに落ちた。

冷々した風が音もなく萱の穂を動かす程度に吹いていた。

師走しわす の風に叩かれた道頓堀川の水面が、小さくさざめいていた。

風に戦（そよ）いでいるその高い梢（こずえ）

白い波頭を均（なら）すように湖心を風の脚が移って行く