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「風邪はね。」うららは少しまつげをふせて淡々と言った。「今がいちばんつらいんだよ。死ぬよりつらいかもね。でも、これ以上のつらさは多分ないんだよ。その人の限界は変わらないからよ。またくりかえし風邪ひいて、今と同じことがおそってくることはあるかもしんないけど、本人さえしっかりしてれば生涯ね、ない。そういう、しくみだから。そう思うと、こういうのがまたあるのかっていやんなっちゃうっていう見方もあるけど、こんなもんかっていうのもあってつらくなくなんない?」
吉本 ばなな / ムーンライト・シャドウ「キッチン (角川文庫)」に収録 ページ位置:72% 作品を確認(amazon)
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波乱万丈・辛い人生(日々)
苦痛(精神的なつらさ)
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前後の文章を含んだ引用
......」 私はかすれた声で言った。「熱がたくさんありそう。つらいね。」 彼女は言った。「うん。今朝は走ることもできやしない。」 私は言った。なんだか私は泣きたかった。「風邪はね。」うららは少しまつげをふせて淡々と言った。「今がいちばんつらいんだよ。死ぬよりつらいかもね。でも、これ以上のつらさは多分ないんだよ。その人の限界は変わらないからよ。またくりかえし風邪ひいて、今と同じことがおそってくることはあるかもしんないけど、本人さえしっかりしてれば生涯ね、ない。そういう、しくみだから。そう思うと、こういうのがまたあるのかっていやんなっちゃうっていう見方もあるけど、こんなもんかっていうのもあってつらくなくなんない?」そして、笑って私を見た。 私は黙って目を丸くした。この人は本当に風邪についてだけ言ってるんだろうか。なにを言ってるんだろうか。──夜明けの青と熱がすべてをかすま......
単語の意味
淡淡・淡々(たんたん)
淡(たん)
麗(うらら)
淡淡・淡々・・・1.落ち着いて感情の起伏があまりなく見える。言動に無駄がなく、あっさりしている。「淡々と仕事をこなす」
2.色や味などが淡白。しつこくなく、あっさりしている。
同じ漢字を重ねることで、語調を整えて意味を強めた表現。
2.色や味などが淡白。しつこくなく、あっさりしている。
同じ漢字を重ねることで、語調を整えて意味を強めた表現。
淡・・・淡いこと。味や色が濃くないこと。あっさり。
麗・・・気候や気分が、晴れ晴れとして心地のいい感じ。わだかまりのない、ほんわかした感じ。「うららか」と同じ意味。
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人々は不用意に風邪を引く。何処で引いたのかは気がつかない。
林芙美子 / 新版 放浪記
「これが人生だ。」 という 呪文 は案外よく効く。何回か口に出して言ってみる。何となく自分でも納得する。
吉本 ばなな / キムチの夢「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
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目をおおいたい苦しみ
林芙美子 / 新版 放浪記
胸は苦渋に充たされる。
小池真理子「愛するということ (幻冬舎文庫)」に収録 amazon
狂人のような悶 え
梶井基次郎 / 冬の蠅
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どうにもならない――宿命的なものが、折角、志した米沢でも、尾 いて廻った。
吉川英治 / 無宿人国記
現実は神話と大して違わないほど古くて荒けずり
円地 文子 / 朱を奪うもの amazon
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