「マニアって変だよねえ」とマニアックという点に関しては引けを取らないような彼が言うのは、気の利いた二重否定にも聞こえた。

これ以上話したくないという風に首を振る

私は「嫌い」という言葉が好きなのかもしれなかった。この言葉を口にしていると、自分がどんどん鮮明になっていく気がする。《…略…》（こんな街、大嫌い） 　心の中で呟くと、また自分が鮮明になった気がした。 　皆がわくわくしているものを、こっそりとけなすと、なんだか自分がすごく特別な女の子みたいだ。

ぴしゃりと否定する

頑固（がんこ）に首を振って

嘘をつく。声が上擦るが、水島はそれを単に強い否定の気持ととったようだ。

話を嘘だと突き崩すだけの根拠がない

九九を間違えた小学生をたしなめる教師のような顔で首を振る

ありふれた内容のことばでも、家庭をなくした純子さんが言うとずっしり来る。

この柔（やわら）かい景色（けしき）や水音を聞いても、彼（かれ）はかえって彼の頑（かたくな）になったこころを一層枯燥（こそう）させる反対の働きを受けるようになった。