子供たちが、ワっと歓声をあげて喜ぶようなうまさではない

甘さが控えめであっさりしている

香ばしい粟と、ほどよい小豆餡のコンビネーションは何ともいえぬ。

（懐中汁粉）熱いお湯を注いでかき回すとプクッと中からおしどりが浮かび出て来るのが楽しかったけれども、味の方は、純粋なおしるこの味に、独特の、ある特殊な味がまといついていて、それがどこまでも、懐中じるこであって正真のおしるこではない、ということを、自分で主張している、というような味であった。

濃厚あずきの癒し

漱石先生は「草枕」の中で羊羹の色を讃美しておられたことがあったが、そういえばあの色などはやはり瞑想的ではないか。玉のように半透明に曇った肌が奥の方まで日の光りを吸い取って夢みるごときほの明るさを啣（ふく）んでいる感じ

ダルメシアンみたいな豆大福

白くて、やわらかくて、無知蒙昧な、甘さのほかには何の芸もない大ふく餅

少し柔らかめのツブあん

ほっこり、しっとりとした口当たりと豆の風味を生かしたやさしい甘さ