人はみんな、道はたくさんあって、自分で選ぶことができると思っている。選ぶ瞬間を夢見ている、と言ったほうが近いのかもしれない。私も、そうだった。しかし今、知った。はっきりと言葉にして知ったのだ。決して運命論的な意味ではなくて、道はいつも決まっている。毎日の呼吸が、まなざしが、くりかえす日々が自然と決めてしまうのだ。
吉本 ばなな / 満月 キッチン2「キッチン (角川文庫)」に収録 ページ位置:87% 作品を確認(amazon)
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......らっとした。 本当はみんな、こうなんだわ。 リュックを横に放り出して仰向けに寝たままで旅館の屋根を見上げて、その向こうに見える光る月や雲を見つめて私は思った。 人はみんな、道はたくさんあって、自分で選ぶことができると思っている。選ぶ瞬間を夢見ている、と言ったほうが近いのかもしれない。私も、そうだった。しかし今、知った。はっきりと言葉にして知ったのだ。決して運命論的な意味ではなくて、道はいつも決まっている。毎日の呼吸が、まなざしが、くりかえす日々が自然と決めてしまうのだ。そして人によってはこうやって、気づくとまるで当然のことのように見知らぬ土地の屋根の水たまりの中で真冬に、カツ丼と共に夜空を見上げて寝ころがらざるをえなくなる。 ......
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一生この家に年老いて家霊のようになって死んで行く
円地 文子 / 女坂 amazon
人生は舞台、あなたは主役
水道橋博士「藝人春秋 (文春文庫)」に収録 amazon
自分に迫る運命を男らしく肩に担い上げる
有島 武郎 / 小さき者へ amazon
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どうにもならない――宿命的なものが、折角、志した米沢でも、尾 いて廻った。
吉川英治 / 無宿人国記
わけもなく不思議な暗い力に引っぱられた。
有島武郎 / 或る女
「けっきょく、そうなんですよね、運命なんですよね。原因をさかのぼって考えていけば、最後の最後は、なぜ自分は生まれてきたんだろう、になっちゃうんですよ」
重松 清「流星ワゴン (講談社文庫)」に収録 amazon
宿命的に避けられない血の重みを確かに感じて
吉本 ばなな / 血と水「とかげ (新潮文庫)」に収録 amazon
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人生とは単に一連の理不尽な、ある場合には粗雑きわまりない成り行きの帰結に過ぎないのかもしれない。
村上 春樹 / 1Q84 BOOK 3 amazon
人生はきっと誰かにバトンを渡すためにあるんだ。今日の私の一日が、別の人の次の一日に繋がる
伊坂 幸太郎 / ラッシュライフ amazon
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