ノミに食われたような浅い傷

足首にかたくゴム輪をはめたような傷痕が刻みつけられる

歯の跡が紫色に膨れ上がった二の腕

（紙で切る）紙できれて指にするどい痛みが走り人差し指の第二関節に細い血の線が浮かび上がる。

（火傷の気分）ねっとりと布が傷に張りついているような気持である

熱い御飯の上に、昨夜の秋刀魚を伏兵線にして、ムシャリと頬ばると、生きている事もまんざらではない。

悲しくなると足の裏が痒くなる体質

（迷信を信じるのは）病人達のなんとしてでも自分のよくなりつつあるという暗示を得たいという（気持ち）

水を浴びたようにゾッとした。

自分はいつか自分の経験している世界を怪しいと感じる瞬間を持つようになって行った。町を歩いていても自分の姿を見た人が「あんな奴が来た」と言って逃げてゆくのじゃないかなど思ってびっくりするときがあった。顔を伏せている子守娘が今度こちらを向くときにはお化けのような顔になっているのじゃないかなど思うときがあった。