（カレールー）十種類の野菜と果物を２０時間煮込み、牛すじのコラーゲンがたっぷり溶け込んだブイヨンを使用している

（激辛三十倍カレー）辛さは、食べ進むにつれて倍加していくようだ。 　全員茹だったような顔になり、思考力は半減し、一種の酩酊状態に陥る。 「味はどうか」といわれても困る。味などまるでわからぬ。かすかな酸味と、凶暴な辛さと、嚙みしめると歯に残ってキシキシと感じる香辛料の残滓が印象に残っているだけだ。確かに人間の食べものではないのかもしれない。 　辛さを耐えしのぐには、氷の入った水がいちばん有効である。ビールは意外に頼りにならない。

肉も野菜もすべてカレーソースへ溶かし込んで形をとどめない独自のカレーライスだ。

カレーを一口、二口食べては、水をがぶがぶ飲む

人間、すき焼きとカレーライスに関しては、親から遺伝的に教わってきた味を最上の美味と心得て、幼児から個人的嗜好を舌へ定着させてしまう結果、他人の味つけはどんな場合にも絶対にうまいと思ってくれない動物である

日本のお米は、炊き立てをそれだけ食べても十分にうまいと思える

白がゆでは物足らないので、紅鮭のおかゆ。やわらかい甘みのあるかゆに鮭の塩気と旨み、三つ葉のさわやかな香りがとてもよく合う。

鮨ネタの最良はやはり脂身のあるトロで、これからみると、イカは淡白であっさりしすぎている

炊き上がったご飯にはらりとアサツキをかける

海苔に歯があたってパリッと破れ、次に飯があって干ぴょうに突き当たる。干ぴょう独特の縦繊維を葉で断ち切るとき、甘辛く煮しめた味が嬉しい。