夕暮れの薄明るさの中で白く浮いた妻のうなじ

少女らしい硬い線を持った細い首筋

ボタンを二つ外したシャツの襟からのぞいている細い白い首筋とテーブルに載せた手の甲だけが微妙に彼女の年齢を暗示していた。小さな、本当に小さなところから人は年を取っていくのだ。そして拭うことのできないしみのように、それは少しずつ全身を覆っていく。

耳の後ろにうなじの毛が縮れて

髪をかき上げた襟元は、艶々と白くて見惚れるようなたっぷりとした肉付き

据りのわるい首を揺って

鳥のように首だけを曲げて周辺を見回す。

思い出すのも恐ろしいように首を埋めて言う

亀のように首を伸ばす

わたしは幅広のマフラーをあごの下で結んでいたので、うまくうなずくことができなかった。