ラブレターというにはあまりにも乱雑で、気持ちの排泄物のようになってしまった封筒《…略…》恋愛感情はこじらせすぎると吐瀉物になるのかもしれない。私は、ずっと、この感情を嘔吐したかったのかもしれなかった。

（十歳の少女が十歳の少年の手を握って、）彼女が求めているのは、自分の感情を天吾にしっかり送り届けるという、ただそれだけのことだ。それは小さな固い箱に詰められ、清潔な包装紙にくるまれ、細い紐できつく結ばれている。そのようなパッケージを彼女は天吾に手渡していた。　そのパッケージを今ここで開く必要はない、と少女は無言のうちに語っていた。その時がくれば開けばいい。あなたは今これをただ受け取るだけでいい。

じっと人の目を見つめ、切々と、縷々と、思いの丈を訴える

外に出た満喜子は、門扉に手をかけたところで立ち止まった。雪見がいたときより 醒めた眼になり、腹を割るという空気を発した。

「ずっと、好きだったみたいなんだ。」 　私は黙った。急に何もかもが近くに見えるように思えた。ビルも、手すりも、自分の手も。恋の視覚だ。

返事に窮して

カウンターの下で、サトシの 爪先 が靴を踏んだ。余計なことは言うな、といいたげである。

顔をつき合わせて話す

吐き出すような語尾に力を入れて一つ一つ区切るようにはっきりとしゃべるしゃべり方

自慢じゃないから、事実をそのまま言うけど...