私は、外されてぷらぷらしていたイヤフォンをもう一度耳にはめたけれど、再生ボタンは押さなかった。もう少し聞いてあげようと思った。
朝井 リョウ / もういちど生まれる「もういちど生まれる (幻冬舎文庫)」に収録 ページ位置:76% 作品を確認(amazon)
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聴く・耳を傾ける
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......ゃんのことをあきらめている。私はそう思った。「そっか」 私は、胸のあたりにカバンを抱えた。励ますべきではない、と、思った。「風人って、ほんとにいいやつだよね」 私は、外されてぷらぷらしていたイヤフォンをもう一度耳にはめたけれど、再生ボタンは押さなかった。もう少し聞いてあげようと思った。電車と合わせて揺れる風人の悲しみに、私ひとりだけでも、もう少し耳を傾けていようと思った。☆ 電車内で小さく揺れ続ける風人に手を振って、電車を降りる。それから二回......
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直子はちょうど女学生が崇拝する教師の話でも聴くような様子で熱心に耳を傾けていた。
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