東京の女が、フランスの田舎へ行くと、田園にただよう肥料の臭いに、 「おお、くさい」 といって、顔を顰めるそうな。
池波 正太郎「むかしの味 (新潮文庫)」に収録 ページ位置:90% 作品を確認(amazon)
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田園・田畑
田舎(いなか)
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前後の文章を含んだ引用
......フランスのホテルでは、パリでも田舎でもパンとコーヒーにミルクのみだが、毎朝、少しも飽きない。夕飯のときの季節の野菜や果物も、それこそ、むかしの味を保っている。 東京の女が、フランスの田舎へ行くと、田園にただよう肥料の臭いに、「おお、くさい」 といって、顔を顰めるそうな。 そのくせ、その肥料で育った野菜を、「おお、うまい」 といって食べるのだから、あきれかえる。 戦前の日本では、生活の重要な部分での接点があったので、東京人も肥料......
単語の意味
顰める(しかめる)
顰み・嚬み(ひそみ)
顰める・・・嫌な気持ちになったときに、眉間の部分にしわを寄せること。不快を表す表情を作るときの顔の動き。
顰み・嚬み・・・悩んだり苦痛だったりしたときに眉間にしわを寄せること。また、そのしわ。
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新宿そだちの久美子には窓いっぱいに拡がる摩天楼が良く似合った。
浅田次郎 / 角筈にて「鉄道員(ぽっぽや) (集英社文庫)」に収録 amazon
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田園・田畑の表現・描写・類語(地上・陸地のカテゴリ)の一覧 ランダム5
紙捻(こより)を植えたような桑畑
長塚 節 / 土 amazon
(畑は)前菜の卓のように蔬菜 を盛り蒐 めている。
岡本かの子 / 母子叙情
十二月の今となっては、水田の跡と言ったほうがいいかもしれない。乾いた土があるだけだった。刈られた稲の名残りもない。
伊坂 幸太郎 / オーデュボンの祈り amazon
麦畑では少しばかり伸びた麦が微風の方向へ漣(さざなみ)のように揺れていた。
藤沢桓夫 / 君に告げん
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田舎(いなか)の表現・描写・類語(地上・陸地のカテゴリ)の一覧 ランダム5
ああ田舎にも退屈してしまった。
林芙美子 / 新版 放浪記
自分の生れた土地の姿を人の筆で読む事は自分のうしろ姿を思いがけなく見せてもらったようになつかしい。
森田 たま / もめん随筆 amazon
猿と人とが半々に住んでるような
夏目 漱石 / 坊っちゃん amazon
時どき烟 を吐く煙突があって、田野はその辺 りから展 けていた。レンブラントの素描めいた風景が散らばっている。
梶井基次郎 / 城のある町にて
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暗緑の樹林はどんよりとした雨空の下に荒涼として横たわっていた。それはみじめな姿だった。
有島武郎 / 或る女
丘が、三角の頂上から両足をふんばったように、二つの小尾根を左右に投げ落とす
大岡 昇平 / 野火 amazon
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白い紙片が風に吹かれて路上を転がって行くような後ろ姿
黒岩 重吾 / 背徳のメス amazon
かなり大きな乗換駅で、潮が引くように行楽帰りの家族連れが降りてゆき、蒸していた車内は涼しい風が吹き込むようにゆとりが出来た。
向田邦子 / 犬小屋「思い出トランプ(新潮文庫)」に収録 amazon
久しく湯にはいらないので、体中がこの間からむづ痒 い。
芥川龍之介 / 芋粥
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