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何万匹とも数の知れない、薄羽かげろうの屍体だったのだ。隙間なく水の面を被っている、彼らのかさなりあった翅 が、光にちぢれて油のような光彩を流している
梶井基次郎 / 桜の樹の下には ページ位置:69% 作品を確認(青空文庫)
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水面や水中の油
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前後の文章を含んだ引用
......溪の水が乾いた磧 へ、小さい水溜を残している、その水のなかだった。思いがけない石油を流したような光彩が、一面に浮いているのだ。おまえはそれを何だったと思う。それは何万匹とも数の知れない、薄羽かげろうの屍体だったのだ。隙間なく水の面を被っている、彼らのかさなりあった翅 が、光にちぢれて油のような光彩を流しているのだ。そこが、産卵を終わった彼らの墓場だったのだ。 俺はそれを見たとき、胸が衝 かれるような気がした。墓場を発 いて屍体を嗜 む変質者のような残忍なよろこびを俺は味わ......
単語の意味
陽炎(かげろう・ようえん)
光彩(こうさい)
陽炎・・・春や夏の穏やかな日に、透明の炎のような揺らめきが地面からユラユラと立ちのぼる現象。局所的に密度の違う空気が混じることで、光が異常屈折して起こる。
光彩・・・1.キラキラと輝く光。あざやかな美しい光。美しい輝き。
2.すぐれていて、よく目立つこと。
2.すぐれていて、よく目立つこと。
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漣(さざなみ)に浮かんだ油の汚点が、ひとりでに伸び縮みしながらひろがって行く、ものうい内海
福永 武彦 / 草の花 amazon
夏目漱石 / 吾輩は猫である
流れのゆるやかな水面が、水彩絵の具をぶちまけたように色とりどりの油をひときわ鮮明にする
高橋 和巳 / 捨子物語 amazon
油のギラギラ浮いた 水 溜り
直哉, 志賀「暗夜行路 (新潮文庫)」に収録 amazon
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海がものうげに針のように光る
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その日最初の太陽の光がはるかな海面を錫箔のように輝かせた
山川方夫 / 夏の葬列(朝のヨット) amazon
川は、堀割(ほりわり)のように水が濁っていて動かない。
大仏 次郎 / 帰郷 amazon
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