秋の初めのまぶしいほど晴れ上がった午後

庭の朝顔の葉が弱まった日差しにカサカサと鳴って、秋の音を伝えだす

晴れきった朝の日差しが透き通る

それは秋らしい 柔 かな 澄んだ 陽ざしが、 紺 のだいぶはげ落ちた 暖簾 の下から静かに店先に 差し込んでいる時だった。

冷たく澄んだ秋の光

若葉の隙間をくぐり抜けた日差しが太い雨のように振っている林の小道

フロントガラスに木漏れ陽が明滅する湖岸道路を抜け

木漏れ日が目の前でさっと揺れだす

林の中にも月影が、松葉のように一ぱいこぼれ落ちている。

美しい午前の日光が葉をこぼれている。

静かなる小春の風が、杉垣の上から出たる梧桐（ごとう）の枝を軽（かろ）く誘ってばらばらと二三枚の葉が枯菊の茂みに落ちた。

十月の空はすとんと気が抜けてしまいそうに高く青く広がって

秋風が吹くようになった。

駅を出た電車は少しずつスピードを上げる。街の灯はだいぶまばらになった。もうすぐ電車は多摩川の鉄橋を渡る。そこを境に気温がぐんと下がって、窓が白く曇ってくるだろう。秋の終わりだ。

秋の終わりの黄色く乾燥した野と、色ガラスのような張り詰めた青い空

太陽の光の質はいつも新鮮で輝きの色艶はたまらなく眩しい

のぼりはじめた太陽に醒まされるように、（岬の村は）その細長い姿を、しだいにくっきりと、あらわしはじめた。

普段なら満天の星空なのだが、今夜は金星だけが瞬いている。雨でも降るのだろうかと一二三は思った。

先ほどよりも少し傾き加減の日光が街並みに薄い影を作っている

瞳（ひとみ）を揶揄（やゆ）するように陽の反射の斑点（はんてん）が、マントルピースの上の肖像画の肩のあたりにきろきろして、かの女の視線をうるさがらしていた。《…略…》そのきろきろする斑点を意固地（いこじ）に見据えて、ついでに肖像画の全貌（ぜんぼう）をも眺め取った。幸い陽の斑点は光度が薄かったので、肖像画の主人公の面影を見て取ることが出来た。