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油気のない髪をひっつめの銀杏返いちょうがえしに結って、横なでのあとのあるひびだらけの両ほおを気持の悪い程赤く火照ほてらせた、如何いかにも田舎者いなかものらしい娘
芥川龍之介 / 蜜柑 ページ位置:21% 作品を確認(青空文庫)
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田舎者
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前後の文章を含んだ引用
......未練がましくうしろへ倒れて行った。私はようやくほっとした心もちになって、巻煙草まきたばこに火をつけながら、始めてものうまぶたをあげて、前の席に腰を下していた小娘の顔を一べつした。  それは油気のない髪をひっつめの銀杏返いちょうがえしに結って、横なでのあとのあるひびだらけの両ほおを気持の悪い程赤く火照ほてらせた、如何いかにも田舎者いなかものらしい娘だった。しかもあかじみた萌黄色もえぎいろの毛糸の襟巻えりまきがだらりと垂れ下ったひざの上には、大きな風呂敷包みがあった。その又包みを抱いた霜焼けの手の中には、三等の赤切符が大事そうに......
単語の意味
引っ詰め(ひっつめ)
結う(ゆう)
頬(ほお・ほほ)
引っ詰め・・・すべてに髪の毛を後ろで無造作に縛った髪型。
結う・・・1.紐や糸で縛る。結ぶ。
2.髪を結んで整える。束ねて、形を整えて結ぶ。
・・・顔の一部。顔の両脇で、口の真横にあるやわらかい部分。ほっぺ。ほっぺた。
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